今回は物理化学のなかでもとくに反応論の反応速度について説明します。
そのなかで、速度式と速度定数というものがでてきます。
それが何なのかをなるべくわかりやすく解説していきます。
速度式とはなにか
速度式(rate equation)とは、ある反応の反応速度を表す式で、実験的に決められたものです。
例えば、高校の時によくみたであろう次の式も速度式の一種です。
$$
v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]
$$
※このときのkはあとで説明する速度定数です。
速度式の意味
このとき注意しておくのは、反応速度が「濃度」の関数になっているということです。
つまり、反応速度vに対してその変数が濃度になるのでより一般的には次のようにかけます。
$$
v=f([\mathrm{A}],[\mathrm{B}], \cdots)
$$
また、気体などで濃度が分圧などで表現できる場合は、濃度の代わりに分圧が変数となるため、先ほどの式の代わりに次のようにもかけます。
$$
v=f\left(p_{\mathrm{A}}, p_{\mathrm{B}}, \cdots\right)
$$
$$
v=f([\mathrm{A}],[\mathrm{B}], \cdots)
$$
・分圧による表現
$$
v=f\left(p_{\mathrm{A}}, p_{\mathrm{B}}, \cdots\right)
$$
速度式の注意点
この時点でわかっているのは、反応速度は濃度の関数として表現できるということだけです。
つまり、「速度が反応するそれぞれの濃度に比例するのか、それとも濃度の2乗に比例するのか、あるいは関与しないのか。」などはわからないということです。
あくまでもこれらは実験でわかるということです。
速度定数
ここまでで、速度式が実験で導かれることがわかりました。
それぞれの濃度のいわゆる”比重”。つまりどれだけ反応速度に関与しているかを定数として表現したものが速度定数です。
しかし、速度定数には単なる比例定数という意味とは違うもう一つの意味があります。
それは、単位の調整です。
反応速度は濃度の時間変化ですので、\(\operatorname{mol} /(L \cdot s)\)などのような形で表せます。
速度式がこの単位になるように、単位の調整を行うのが速度定数の役割です。
まとめ
・速度式(rate equation)とは、ある反応の反応速度を表す式で、実験的に決められたものです。
・速度式は濃度の関数と見た形と分圧の関数と見る形があります。
・実験で求められた速度式には、単位の調整の役割があります。
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「反応速度論(物理化学入門シリーズ)」刊行趣旨より引用
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