カルボニル基の構造
C=O結合をもち、極性が強い。
カルボニル基をもつケトンやアルデヒドの性質や反応の大部分はこのC=O結合の極性からきていると考えて良い。
アルケンのC=C結合とは違い、C=O結合では、大きく分けて二つの違いがある。
- 酸素原子は二つの孤立電子対を持っている(エチレンの場合、ここは水素が結合している。)
- 酸素は炭素よりも電気陰性度が高い。
この二つによって、C=O結合は、分極し、酸素は負に、炭素は正に帯電する。
言い換えると、酸素は求核的(やや塩基性)、炭素は求電子的になる
Point カルボニル基の酸素は求核的、炭素は求電子的
これが、カルボニル基の多様な反応に関わることになる。
そして、さらにカルボニル炭素が正に帯電していることからアルカノイル基(アシル基)は電子求引性になる。
Point アルカノイル基(アシル基)は電子吸引性
物理的な性質
カルボニル基の分極によって、アルデヒドやケトンの沸点は高くなる。
また、極性が大きいので、水とも混ざり合う。
炭素数が多くなるほど疎水性がますので、6つ以上の炭素を持つ場合は、ほとんど溶けないが、それよりも少ない炭素数のものは比較的容易に水に溶ける。
point カルボニル基を持つ物質は沸点が高くなり、水に溶けやすくなる。
合成方法
工業的製法
アルデヒド・ケトンの中で、工業的に重要だとされるのは、ホルムアルデヒドと、プロパノン(アセトン)
ホルムアルデヒドの水溶液はあのホルマリンで、これは消毒液や殺真菌剤として用いられる。それから、フェノール樹脂の合成にも非常に重要である。
工業的には、メタノールの酸化により、ホルムアルデヒドが生成される
実験室的製法
実験室的製法には大きく4つある。
詳しい反応機構はそれぞれのページで解説するとして、ここではこの4種類があることと、それぞれの注意点だけおさえておきましょう
アルコールの酸化
水の存在下ではアルデヒドの過剰酸化でカルボン酸の生成が起こることに注意⚠️
過剰酸化を防ぐためは、水のない状況下、具体的にはPCCを溶媒に用いて反応させる。
アルケンのオゾン分解
アルケンをオゾンと反応させ、穏和な還元剤で還元すると、二重結合が開裂し、アルデヒドやケトンを生成する
アルキンの水和反応
水の二重結合の付加では、マルコフ二コフ型と逆マルコフ二コフ型があったことを思い出そう。
水銀イオンの共存下では、マルコフニコフ則に従い、反応が起こる
ヒドロホウ素化-酸化反応では逆マルコフ二コフ型の付加反応がみられる
Friedel-craftsアルカノイル化
芳香族求電子置換反応のひとつで、ハロゲン化アルカノイルや、カルボン酸無水物からアシリウムイオンを生成しベンゼン環に置換する。
以上、アルデヒドケトンの4つの生成法でした。
具体的な反応については、カルボニル基の反応をご覧ください。
まとめ
カルボニル基の酸素は求核的、炭素は求電子的
カルボニル基の分極によって、アルデヒドやケトンの沸点は高くなる。また水ともよく混じる。
カルボニル化合物の生成法は大きく分けて4つ。アルコールの酸化、オゾン分解、アルキンの水和、Friedel-craftsアルカノイル化全て覚えておきましょう