アルドール縮合
いままでアルキル化によるカルボニル基による炭素-炭素結合形成の反応を見てきました。
ここでは、炭素-炭素結合形成の中でもっともよく使われる方法について説明します。
なんども繰り返しになりますが、エノラートイオンは共鳴構造により、炭素の部位が負の電荷、つまり求核性を帯びています。
このエノラートがハロアルカンと反応すると、条件によって求核置換反応によるアルキル化になります。
アルドール縮合は、このエノラートがカルボニル炭素へと攻撃します。
アルドールとは、アルデヒドアルコールのことで、アルデヒドのカルボニル炭素にアルコールが結合しているものです。
炭素-炭素結合形成で、このアルドールが生成するためにアルドール縮合と呼ばれます。
段階としては特に難しいところはなく、塩基によるエノラートの形成、エノラートのカルボニル炭素への攻撃、プロトン化で終了します。
大事になってくるのはこのアルドール生成後です。
このとき、低温度(目安として5℃以下)だったら、これ以上の反応は起きませんが、高温だったとき、アルドールはエノラートへと変化し、さらに-OHが脱離し、C=C二重結合をもつカルボニル化合物に戻ります。
つまり、反応の温度によって不飽和カルボニル化合物になるか、ヒドロキシカルボニル化合物になるかを決められます。
二つのカルボニル化合物が縮合する位置はいずれもα炭素とβ炭素間です。C=C二重結合もこのα炭素とβ炭素間だと覚えておくと便利でしょう。
ケトンのアルドール縮合
ケトンもアルドール縮合する可能性はあるが、その反応率は低い。
その理由は、ケトンのC=O結合がアルデヒドのC=O結合よりも強いからです。
そのため、エノラートになるのに高いエネルギーが必要となり反応が起きづらくなります。
アルドール縮合を起こすためには平衡を偏らせるために、生成物であるアルコールや水を取り除くなどの工夫が必要です。