【有機化学】エノラートイオンのアルキル化

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エノラートイオンのアルキル化

エノラートイオンの共鳴構造では炭素が負の電荷を帯びている部分があるので、適切な条件にすれば、正の電荷を帯びた炭素と結合をつくり、アルキル化をさせることができるだろうと予測されます。

ハロゲン化アルカンを用いて行うと原理的にはSN2反応によってアルファ水素の代わりに、アルキル基が置換することになります。

しかし実際にはこの反応は複雑になります。

理由その①:E2脱離反応との競合

理由の一つ目は、E2脱離反応が起きるということです。

エノラートイオンはかなり強い塩基です。強塩基で、第二級以上のアルカンを用いるとSN2反応よりもE2反応が促進されます。

※これがピンと来ない方は、もう一度求核置換反応と脱離反応のページを見てください。

理由その②:エノラート縮合反応との競合

理由の二つ目は、後に述べるエノラート縮合反応との競合が起こることです。

アルデヒドは塩基触媒により縮合されます。

これが非常に起こりやすいために、アルデヒドのアルキル化がおこりづらくなっています。

理由その③:生成物の混在

ケトンの場合も問題は複雑になります。

まず、非対称のケトンの場合、アルキル化が、二種類のアルファ炭素に起こるため、二つの異性体が生じることになります。

さらに、アルキル化が一度おきた後、もう一度同じアルファ炭素にアルキル化することもあるために、生成される分子が多種になり、分離が困難になります。

これらの理由のため、カルボニル化合物のハロゲン化は条件をかなり適切に選ぶ必要があるといえます。

アルキル化もう一つの方法:エナミンの利用

第二級アミンとカルボニル化合物の反応でエナミンが生成することは、カルボニル化合物への付加反応でみてきました。

エナミンの共鳴構造をみてみると、窒素原子から一つ炭素を挟んだ先にある炭素(β炭素)が求核的になっていることがわかります。

その結果、求電子剤は、この炭素を攻撃できることになります。

この性質を用いてカルボニル化合物をアルキル化する方法をみてみましょう。

まず、第一段階として、アルキル化したいカルボニル化合物を第二級アミンにより、エナミンに変えます。

そしてエナミンにハロアルカンなど求電子剤を投入すると、さきほどのβ炭素(もとのカルボニル基からみると、α炭素)がアルキル化されます。

そして最後に、導入したアミノ基が加水分解され、カルボニル基にもどります。

全体としてみると、カルボニル基のα炭素にアルキル化が起きたことになります。

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