脱酸素反応
これまでカルボニル化合物に付加する方法を見てきましたが、今度は、C=OをCH2へと還元する方法を見ていきましょう。
Wolff-Kishner還元
ヒドラジンとカルボニル基が反応することにより、ヒドラゾンを生成します。
さらにヒドラゾンを高温で塩基と反応させると、窒素を発生し分解します。
これをWolff-Kishner還元といいます。
窒素の脱離の機構は、プロトン化が深く関与しています。
まず、塩基によってヒドラゾンから水素の引き抜きがおき、その後、炭素基にプロトン化がおきます。
そして、再び窒素上のプロトンが引き抜かれ、最終的には、窒素が三重結合を作り脱離していきます。
窒素が抜けた後もプロトン化がおこり、結局はC=OがCH2へと変わっていくことになります。
窒素の水素が抜けていく代わりに炭素に付いていったと考えるのが早いかもしれません。
Clemmensen還元
亜鉛アマルガム Zn-Hg を用い、強酸中で加熱することでカルボニル基が脱酸素化されメチレン基(-CH2)に変わります。
Wolff-Kishner還元は、Clemmensen還元や、チオアセタール脱硫などと相補的な還元になっています。
具体的には、
Clemmensen還元→強酸の中でおこなうため、酸に弱い官能基があると使えない
Wolff-Kishner還元→塩基中でおこなうため、塩基に弱い官能基があると使えない
チオアセタール脱硫法→多重結合の水素化を伴うことがある
という違いがあるので、覚えておくと役に立ちます。
まとめ
脱酸化といい、C=OをCH2へと還元する方法はチオアセタール脱硫法、Wolff-Kishner還元とClemmensen還元があり、それぞれ相補的になっている。
Wolff-Kishner還元はカルボニル基をヒドラジンと反応させ、生成したヒドラゾンを高温で塩基と反応させ窒素を遊離させる方法。塩基中でおこなうため、塩基に弱い官能基があると使えない
Clemmensen還元は亜鉛アマルガムを使い強酸中で加熱することでカルボニル基を脱酸素化する方法。強酸の中でおこなうため、酸に弱い官能基があると使えない