【大学院試験対策】常磁性と反磁性

化学系の大学院試験直前の対策として、大学院の試験に出題されうるテーマや用語について説明します。

今回は無機化学分野の中から常磁性と反磁性というテーマを扱っていきます。

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三つの磁性体

磁性体は、反磁性体・常磁性体・強磁性体の3つに分けられます。

今回はそのうち、常磁性と反磁性についてみていきましょう。

この記事を読めば

・常磁性と反磁性の違いの判断の仕方

・常磁性と反磁性となる分子の例

・常磁性と反磁性での磁化率の違い

がわかるようになります。

ぜひ最後までご一読ください。

常磁性と反磁性の違いとは?

結論から言うと、分子の常磁性と反磁性の違いは不対電子の有無で決まります。

この不対電子というのは、分子軌道を考えたうえで電子を配列したときの結果です。

分子軌道法(MO法)について復習が必要な方はみなおしておきましょう。

常磁性の例

酸素分子(O2)

酸素の分子軌道を書くと以下の図のようになります。

2p軌道からなる酸素分子(O2)の反結合性軌道のπ軌道には、不対電子が2つ存在します。

この不対電子のスピンが磁気モーメントをつくります。

これが、常磁性を帯びる原因になります。

酸素分子の分子軌道 http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~tishii/Lab/hybrid/O2/O2.htmlより引用

反磁性の例

窒素分子(N2)

窒素分子の分子軌道 http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~tishii/Lab/hybrid/N2/N2.htmlより引用

常磁性と反磁性での磁化率の違い

そもそも磁化率って?

磁性を帯びる可能性がある物質に磁場をかけると磁性体が分極して磁石のようになります。

このような現象を磁化といい、磁化のしやすさを磁化率といいます。

この磁化率が大きいと、磁場へとひきつけられやすくなります。

この磁化率が”常磁性”か”反磁性”かによって異なってきます。

磁化率は、外部磁場Hと磁化Mを用いて以下の式であらわせます。

$$\chi=\frac{M}{H}$$

※\(\chi\)は”カイ”と読むギリシア文字です。

常磁性体と反磁性体での磁化率のちがい

結論から言うと、このとき

常磁性体:\(\chi>0\)

反磁性体:\(\chi<0\)

となります。

つまり、

常磁性体は磁場に引きつけられるのに対して、反磁性体は磁場から遠ざかるということです。

まとめ

今回の内容は、シュライバー・アトキンス無機化学(第6版)を参考に執筆しています。

無機化学のおすすめの教科書などはこちらのページにまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。

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大学院試験対策におすすめの参考書

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