ラプラス演算子の極座標表示

数学で用いるラプラス演算子はナブラ演算子を2回繰り返す形でかかれます。

量子化学においてラプラス演算子を使う場合には、極座標表示の形を使う場合があります。

複雑な形をしているため、導出は非常に難しいですが、形を記憶しておいてこれがラプラス演算子の極座標表示であることを理解しておきましょう。

今回は、ラプラス演算子の一般の形と極座標表示の形を示し、もっと学びたい人向けに導出の方法がかかれた参考書を紹介します。

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ラプラス演算子とはなにか?

ラプラス演算子の普通の形は、

$$
\nabla^{2} \equiv \frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}}+\frac{\partial^{2}}{\partial y^{2}}+\frac{\partial^{2}}{\partial z^{2}}
$$

という風になります。

ナブラ演算子\(\nabla=\left(\frac{\partial}{\partial x}, \frac{\partial}{\partial y}, \frac{\partial}{\partial z}\right)\)を二回繰り返す形になっています。

もちろん演算子なので、ラプラス演算子は\(\nabla^{2} f\)のように演算子に関数を組み合わせて使います。

ラプラス演算子の極座標表示

ラプラス演算子を極座標表示にした形は

$$
\nabla^{2} =\frac{1}{r^{2}} \frac{\partial}{\partial r}\left(r^{2} \frac{\partial}{\partial r}\right)+\frac{1}{r^{2} \sin \theta} \frac{\partial}{\partial \theta}\left(\sin \theta \frac{\partial}{\partial \theta}\right)+\frac{1}{r^{2} \sin ^{2} \theta} \frac{\partial^{2}}{\partial \varphi^{2}}
$$

となります。

また、剛体回転子を考えるときには、rが一定の場合となり、その場合はrの偏微分の部分が0と考えて、次のように表しなおせます。

$$
\nabla^{2}=\frac{1}{r^{2}} \frac{1}{\sin \theta} \frac{\partial}{\partial \theta}\left(\sin \theta \frac{\partial}{\partial \theta}\right)+\frac{1}{r^{2}} \frac{1}{\sin ^{2} \theta} \frac{\partial^{2}}{\partial \phi^{2}}
$$

ラプラス演算子の利用(水素原子の波動関数)

水素原子の波動関数を考えるとき、水素原子のハルミトン演算子は、ラプラス演算子の極座標表示を用いて表せます。

$$
\hat{H}=-\frac{\hbar^{2}}{2 m_{\mathrm{e}}} \nabla^{2}-\frac{e^{2}}{4 \pi \varepsilon_{0} r}
$$

よって水素原子のシュレディンガー方程式は、次のように表されます。

$$
-\frac{\hbar^{2}}{2 m_{\mathrm{e}}}\left[\frac{1}{r^{2}} \frac{\partial}{\partial r}\left(r^{2} \frac{\partial \psi}{\partial r}\right)\right.\left.+\frac{1}{r^{2} \sin \theta} \frac{\partial}{\partial \theta}\left(\sin \theta \frac{\partial \psi}{\partial \theta}\right)+\frac{1}{r^{2} \sin ^{2} \theta} \frac{\partial^{2} \psi}{\partial \phi^{2}}\right] \\
-\frac{e^{2}}{4 \pi \varepsilon_{0} r} \psi(r, \theta, \phi)=E \psi(r, \theta, \phi)
$$

このようにラプラス演算子では、量子化学においてもよく使います。

ひとまずは形を覚えておきましょう。

もっと詳しく学ぶ人に

マッカリーサイモン 物理化学―分子論的アプローチ〈上〉

マッカリーサイモンの物理化学の6章には水素原子のシュレディンガー方程式の導出について詳しい導出が書かれています。

また、5章の調和振動子と剛体回転子の項にはラプラシアンについての詳しい記述と極座標表示への導出が含まれているので、

ラプラシアンなどを含めた量子化学の勉強におすすめです。

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