今回はグロッタス機構について説明していきます。
グロッタス機構(Grotthuss mechanism)
グロッタス機構とは水中のプロトンの移動度に関する用語です。
移動度は以下のページで解説していますが、再度説明していきます。
移動度とは、次のように表されるものです。
これは、外部からの電界に対するイオンの移動のしやすさを表しています。
この式を見ると、半径rが小さければ小さいほど移動度が大きいように思えます。
しかし、実際には、小さいイオンでは、表面電荷が大きくなり周りの溶媒により強く溶媒和をし、見かけ上のイオン半径は大きくなります。
その結果、移動度は小さくなるのです。
次にプロトンという具体的なイオンを考えます。
プロトンは小さなイオン半径をもつのですが、移動度はとても高くなります。
この矛盾を説明するのがグロッタス機構です。
これは水素イオンの移動が単純に移動しているのではなく、プロトンが水素結合の再配列を繰り返した結果、見かけ上移動しているように見えることを言います。
グロッタス機構はその動き方からプロトンのリレー移動ともいわれます。
アンモニアイオンのような水素結合をもつイオンでも同様なことが起きていると言われています。
参考サイト・文献
化学辞典 第2版「グロッタスの機構」
Kumagai, T. Shiotari, A他「 H-atom relay reactions in real space」
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/151105
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/151105/1/nmat3176.pdf