光化学過程の1次過程と2次過程
光化学過程は、反応物の一部が放射線を吸収するところから始まります。
一次過程は、反応物の励起状態から生成物を直接生成する過程で、二次過程では、反応物の励起状態から得られた中間体を介して生成物を作る過程です。
図 1次過程と2次過程
光化学反応は、電磁波を当てて物質を励起させることではじまります。
ここで大事なのは、励起された物質は反応物を生成する前に失活する場合があるということです。
失活というのは、”酵素の失活”という言葉で見られるようにあるものが”活動性を失う”ことですね。直観的にわかると思います。
酵素の失活は、熱を与えたり、pHを変化させることでたんぱく質の変性を起こすことで起きます。
つまり、元ある物質が本来の形から変わってしまうときに失活が起こると思ってください。
それでは、光化学で起きる失活とはどういうものなのでしょうか
光化学での失活は、励起された物質が蛍光、誘導放出、りん光、項間交差などの光物理過程を通して違うものに変わってしまうことで起きます。
蛍光、りん光などをまだ習ってない人は、聞きなれない言葉が多くて煩わしいかもしれないですが、とりあえずは光のエネルギーで違うものに変わる反応だと思っていてください。
あとでそれぞれの詳しい説明をします。
エネルギー準位を図で表すと、蛍光やりん光はおおよそこういう風に表せます。
それぞれの概略を式で表すと、つぎのようになります。
蛍光とりん光のちがい
そもそも、エネルギーを与えられて励起した状態にある物質は、その励起状態からもとのエネルギー準位に戻るために、次のどれかの過程をとるのが一般的です。
① 化学反応
② 熱運動への変換(無放射減衰)
③ 電磁波への変換(放射減衰)
そして蛍光やりん光はこのうち③の放射減衰のときに起こる現象です。
蛍光とりん光の大きな違いは、光の継続時間です。
蛍光は、数ナノ秒、数ミリ秒という短い時間で起こるのに対し、りん光は数秒や数分など長時間にわたって光り続けます。
まとめ
今回は、光化学過程としておこる反応について概論をみていきました。
励起された物質は何らかの方法でエネルギーを失います。
この失い方によって物質がどのように変化するのか、あるいはどのように発光するのかが異なります。
この失い方の種類である蛍光やりん光は、光化学反応を学ぶ上で必要な知識です。
これをさらに量子論的に考えることがこれから必要になります。
私も、光化学過程の最初を学ぶのにとても苦労しました。一つの参考書にとらわれずにいろんな参考書やwebページを見るのがおすすめです。