温度が上がると化学ポテンシャルは減少するのはなぜか？その理由を説明します。
熱力学を勉強していると、相平衡の熱力学的側面を学ぶ中で、温度が上がるにつれて化学ポテンシャルが減少すると学習します。
つまり、固体、液体、気体の順に化学ポテンシャルは小さくなるということを意味します。
このことについて、熱力学の基本式から理由を考えてみましょう。
熱力学基本式
これは復習ですが、熱力学の基本式は熱力学第一法則と熱力学第二法則を結びつけたものでした。
以下に熱力学の基本式とマクスウェルの関係式をまとめます。
| 状態関数 | 熱力学基本式 | マクスウェルの関係式 |
|---|---|---|
今回考えるのは化学ポテンシャルですが、ある一つの物質を考えるときには、純物質の化学ポテンシャルはギブズエネルギーと同じであると考えてよいです。
そこで、ギブズエネルギーについての熱力学基本式
を用いて考えていきます。
ギブズエネルギーはTとPの関数と考えて、
ともかけます。
これら(1),(2)式の2項目を比べると、
となります。
導出された式の考察
この式の左辺は圧力一定でギブズエネルギーの温度に対する勾配を表しています。
右辺より、ギブズエネルギーの温度に対する勾配はになるのですが、エントロピーはすべての物質で常に正なので、勾配は常に負になることを意味します。
勾配が常に負になるということは、温度の上昇に伴って単調的にギブズエネルギーが減少していくことを意味します。
先ほども言ったようにギブズエネルギーは、ある一つの物質を考えるときには純物質の化学ポテンシャルと同じであると考えてよいです。
つまり、化学ポテンシャルは温度の上昇とともに減少していくことが確認できました。
まとめ
今回の話をまとめて、温度が上がるにつれて化学ポテンシャルは減少する理由を説明します。
熱力学基本式から、 である。
この式は、温度の上昇につれてギブズエネルギーが小さくなることを意味する。
ギブズエネルギーは純物質では化学ポテンシャルと同じなので、温度が上がるにつれて化学ポテンシャルは減少することを意味する。
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