【大学院試験対策】偏導関数の性質とマクスウェル関係式

化学系の大学院試験直前の対策として、大学院の試験に出題されうる例題を掲載しています。

どの例題も典型的な問題であり、さらに出題されている数値をごく簡単な値に調整しているため、計算に時間をかける必要は不要です。

その分、厳密な値ではないのに注意してください。

今回は物理化学、化学熱力学の中から偏導関数の性質とマクスウェル関係式というテーマを扱っていきます。

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偏導関数の性質とマクスウェル関係式

今回は、化学でよく用いられる多変数関数の偏導関数の性質とマクスウェルの関係式について説明します。

数学で学習した人もいると思いますが、今回は化学で用いるために

気体の状態量を扱う中で、PやVやTなど多くの変数が出てきます。

そのため、偏導関数の性質を知っておくことは、熱力学の理解につながります。

そして、その偏導関数の形で表される熱力学の等式をマクスウェルの関係式といいます。

 

偏導関数の性質

まず、ある関数を考えます。

このとき、この関数fの変化量はつぎのように表されます。

は、yとzを一定の値にしたときに、xの値を変化させたときのfの変化率です。

つまり、関数fの変化量は、それぞれ独立して変化させたときの変化量の和で表していることになります。

このとき、この偏導関数には次の3つの関係式が成り立ちます

 

完全微分の性質

そして次に大事なこととして、完全微分としての性質があります。

完全微分であるということは、

において、

が成り立つということです。

 

この性質を抑えたうえで、化学熱力学の話に戻りましょう。

化学熱力学でいう完全微分とは、その値が経路に依存しないことを意味します。

内部エネルギー(U)やエンタルピー(H)、ヘルムホルツエネルギー(A),ギブズエネルギー(G)などという状態関数は、経路に依存しないため、その変化量は完全微分になります。

つまり、熱力学基本式では完全微分の性質を用いることができるということです。

 

 

マクスウェルの関係式

それでは実際の熱力学基本式を用いて考えてみましょう。

ここでは、内部エネルギーに関しての熱力学基本式を用いて解説します。

こちらが内部エネルギーに関する熱力学基本式です。

この式を、先ほどの全微分の式とくらべてみましょう。

このとき、この式が完全微分になるときの条件は

となります。

これを熱力学の基本式についてのマクスウェルの関係式といいます。

以下に熱力学の基本式とマクスウェルの関係式をまとめます。

状態関数 熱力学基本式 マクスウェルの関係式

これらマクスウェルの関係式をつかった例題を一つ解いてみましょう。

 

例題

等温下で完全気体のエントロピーの体積依存性について、マクスウェルの関係式

を用いて考察せよ。

 

例題の解答

まず、

マクスウェルの関係式より、なので、

よって、

よって、エントロピーは、体積の自然対数を取ったものに比例することがわかる。

 

大学院試験対策におすすめの参考書

最後に大学院試験対策におすすめの参考書を紹介します。

本サイトでは基本的な問題の解説をしていますが、著作権などの都合上、問題設定や数値はオリジナルの問題になっています。

実際に大学院試験に出題された問題を見たいという方はこれらの参考書を使って対策をすることをおすすめします。

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例題には出題もととなる大学院の名前も書いてあるため、自分の受験する大学院の難易度と比較しながら問題を解くことができます。

例題に対して解説の分量が多く、とても丁寧な書き方がされているので、いきなりこの問題集を使っても問題なさそうです。

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マッカーリサイモンの物理化学の参考書とよく比較されますが、私個人としては、こちらの方が図表がきれいに並べられているため見やすいと感じています。

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