リッツの結合原理

今回は量子化学ででてくるリッツの結合原理とはなにかを説明します。

・リッツの結合原理とはなにか?

・リッツの結合原理とリュートベリの式の関係

・量子化学のおすすめの参考書

を知りたい方はぜひお読みください。

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リッツの結合原理とは

結論から言うと、リッツの結合原理とは

任意の原子の2つのスペクトル線の波数の和または差は他のスペクトル線の波数に一致する

という経験則です。

式でいうと、次のように表されます。\(\nu\)は波数です。

$$
\nu_{i j}+\nu_{j k}=\nu_{i k}
$$

あるいは、アトキンス物理化学第10版では次のように書かれていました。

リッツの結合原理は(水素型原子ではない任意の原子の)任意のスペクトル線の波数は二つの項の差であるということを述べている.

ヴァルター・リッツ

発見したのはヴァルター・リッツというスイスの物理学者です。

変分法のときにでてくるレイリー・リッツの変分原理も彼の発見です。

リッツの結合原理と水素原子のスペクトル線

水素原子のスペクトル線は、リュートベリによって1980年に次のような式で表されることがわかりました。

\(\tilde{\nu}=\tilde{R}_{\mathrm{H}}\left(\frac{1}{n_{1}^{2}}-\frac{1}{n_{2}^{2}}\right)\)

これは高校の授業でも習う有名な式でn1=1のときにライマン系列n1=2のときバルマー系列、n1=3のときパッシェン系列という風に言うことも有名でしょう。

この式が意味しているのは水素原子のスペクトルの各波長は、二つの項の差で表現できた。

ということです。

すなわちこれが、リッツの結合原理の始まりになります。

リュートベリのスペクトル線の式が1980年に定式化されたのに対して、リッツの結合原理は1908年に発表されたようなのでおおよそ28年後のことになります。

リッツの結合原理は、水素原子のみならず、任意の原子について成り立つ式になります。

そして、水素原子の場合のみ単純に表されそれがリュートベリの式だったということです。

量子化学おすすめの参考書

今回の記事は、マッカリーサイモン物理化学―分子論的アプローチ〈上〉 アトキンス物理化学(上)第10版のトッピック9Aを参考に執筆しております。

教科書であるアトキンス物理化学とマッカリーサイモン物理化学はどちらも東京化学同人から出版されておりとても信頼のできる書籍です。こちらの参考書を一読すれば、量子化学の大枠の部分は理解できるようになると思います。

もしも、このような教科書が理解できないという方には、もう少し基礎から量子化学、あるいはシュレディンガー方程式などを理解できる本を紹介します。

基礎から量子化学を学ぶ本

量子化学―基礎からのアプローチ(化学同人)

この参考書は、量子化学の基礎を入門者向けに詳しく説明しています。

白黒刷りなのが少し残念ですが、余白も多く見やすいレイアウトなので学習にそれほど支障はないでしょう。

数式でちゃんと説明しているため抽象的になりすぎず、根拠をもって理解することができます。

量子化学―基本の考え方16章(東京化学同人)

こちらはさらに初学者向けです。

数式をほとんど使わずに解説しています。

ただし、簡潔にまとめられている分、もう少し説明が欲しいと思う部分もいくつかありましたので、マッカリーサイモンの物理化学やアトキンス物理化学など詳しい教科書とともに読むのがいいでしょう。

 

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