相境界の勾配について-クラぺイロンの式とクラウジウスクラぺイロンの式について-

化学系の大学院試験直前の対策として、大学院の試験に出題されうるテーマの解説をおこなっています!

今回は物理化学、化学熱力学の中から相境界の化学というテーマを扱っていきます。

 

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相境界の化学

相境界の化学では、クラぺイロンの式やクラウジウスクラぺイロンの式などを扱います。

名前がややこしく、似たような式が多いため困惑する方も多いのではないでしょうか。

今回はそんな相境界について解説していきます。

相境界について

相境界とは、2相が共存している状態の温度と圧力によって表現できる境界です。

平衡状態にあるとき、化学ポテンシャルが等しいことを利用して、この相境界について調べていきます。

結論から言うと、相境界の勾配は、クラぺイロンの式と呼ばれる式で書かれます。

 

クラぺイロンの式

クラぺイロンの式は遷移エントロピーと遷移体積を用いて下のようにあらわされることが多いです。

あるいは、分子と分母を入れ替えた形で表すこともあります。

先ほども言ったように、これは相境界の勾配を表しています。

相境界は、例えば固体から液体に変化する境目である融点を示しますが、この式を用いることで、圧力変化に対して融点がどのように変化するかを推測することができます。もちろん、融点だけでなく沸点など相の境界での変化に対して言えます。

 

クラぺイロンの式の具体的な用い方

これからは、クラぺイロンの式の具体的な用い方を考えていきたいと思います。

先ほどはクラぺイロンの式として、転位エントロピーを用いていましたが、今回は

という関係式を用いてクラぺイロンの式を書き直していきます。

ここで大事なのは、固体→液体の変化と液体→気体の変化では、体積の変化量が大きく異なるということです。

というのも、固体から液体では、体積変化の割合が小さいのに対して、液体から気体への変化は体積変化が大きくなります。

よって状態変化の種類に応じて、クラぺイロンの式を用いるときのを変えていかなければいけません。

固相-液相での変化

まず、クラぺイロンの式をエントロピー変化を用いて書き直すと次のようになる。

固相-液相の変化の場合、エンタルピーの変化と体積の変化が温度と圧力に依存しないと仮定すると、

となり、ここから圧力と温度の関係を積分することで得られる。

これを解くと次のようになる。

これが固相-液相での変化を表す式になります。

また、教科書や文献には、級数展開をつかって近似的に次のように表すこともあり、温度変化がごく微小なときには、さらに式変形ができます。

液相-気相での変化

液相-気相の間の変化は体積変化が大きくなります。

液体の体積と気体の体積を比較したとき、気体の体積の方が圧倒的に大きいため、ここでは変化した体積を近似的に気体の体積と等しいと考えます。

さらに、完全気体としてふるまうと仮定すると、

これを用いて式を書き換えると、

また、であるので、

この最終的な式をクラウジウス-クラぺイロンの式と呼びます。

 

クラウジウス-クラぺイロンの式

クラウジウス-クラぺイロンの式とクラぺイロンの式は、名前がよく似ているため勘違いしやすいですが、

クラぺイロンの式は、相境界の勾配についての一般的な式であり、

クラウジウス-クラぺイロンの式は、クラぺイロンの式を利用して得られた気相-液相での相境界の勾配についての具体的な式です。

大学院試験対策におすすめの参考書

最後に大学院試験対策におすすめの参考書を紹介します。

本サイトでは基本的な問題の解説をしていますが、著作権などの都合上、問題設定や数値はオリジナルの問題になっています。

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