植物、菌類、細菌では実は違う。細胞壁を構成する成分はなに?

今回は生物化学の前提となる生物の基礎の部分について説明します。

細胞壁は、高校の生物のときからおそわる基本的な細胞外マトリクスです。

しかし、この細胞壁を構成する成分が植物や細菌、菌類ではちがった主成分でできていることを知らない人も多いのではないでしょうか?

今回は細胞壁の構成成分について説明していきます。

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植物の細胞壁

植物の細胞壁の構成成分は、ご存知の通りセルロースです。

植物の細胞壁には生長中にできる一次細胞壁と生長後にできる二次細胞壁へと大きく分類されますが、これらどちらもセルロースが主成分になっています。

セルロース

セルロース wikipediaより画像引用

セルロースは多くのβ-グルコースが直鎖状に重合してできます。

セルロースはその構造から非常に安定で、酸や塩基に強いため植物の細胞壁には適しています。

もしも、植物の細胞壁がセルロースでなければ、酸性雨によって木が溶けることになりかねませんね。

菌類の細胞壁

菌類の細胞壁は菌の種類によって異なります。

構成成分の多糖類の構成比によって、8種類に分類できるとも言われています。

今回は多くの菌類の細胞壁に使われているキチンをみていきます。

キチン

キチン wikipediaより画像引用

キチンは多糖の一種で 「ポリ-β1-4-N-アセチルグルコサミン」とも言われます。

構造は、セルロースと似ていますが、2位の炭素のヒドロキシ基がキチンではアセトアミド基(CH3C(=O)NH- )になっています。

分子間で強い水素結合を示すため、溶解性は低くなっています。

細菌の細胞壁

細菌は、グラム陰性菌グラム陽性菌に分けられます。

グラム陰性菌、グラム陽性菌の細胞壁の主成分はどちらもペプチドグリカン(ムレイン)ですが、

こまかな構成成分はそれぞれで変わってきます。

グラム陰性菌では、細胞壁の構成成分はだいたい決まっているものの、グラム陽性菌は細菌の種類によって大きく変わります。

そのため、グラム陽性菌は細胞壁の組成で細かく分類されます。

ペプチドグリカン

ペプチドグリカンは、ペプチドと糖からなる高分子化合物の総称です。

異称としてムレインと呼ばれることもあります。

ペプチドグリカンもセルロースやキチン同様、化学的に比較的安定なので、酸や塩基に対して容易には溶けたりはしません。

メタン細菌や高度好塩菌のような古細菌ではペプチドグリカンが基本的には含まれていません。

しかし、古細菌以外の原核生物にはほとんどの確率でペプチドグリカンが含まれていると言われています。

まとめ

植物、菌類、細菌類の細胞壁の主成分は次のようになります。固体それぞれでも構成成分は異なるため、あくまでも概論であるとおもっていてください。

主成分
植物類 セルロース
菌類 キチン
細菌類 ペプチドグリカン

今回の内容は、

植物細胞壁と多糖類」(培風館)

ヴォート基礎生化学(東京化学同人)

を参考に執筆しております。

あくまでも概論ですので、詳しく知りたい方はこれらの教科書・専門書を読んでみてください。

↓細胞壁の構成成分を理解するのにおすすめの教科書・専門書

植物細胞壁と多糖類」(培風館)

ヴォート基礎生化学(東京化学同人)

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