化学系の大学院試験直前の対策として、大学院の試験に出題されうる例題を掲載しています。
どの例題も典型的な問題であり、さらに出題されている数値をごく簡単な値に調整しているため、計算に時間をかける必要は不要です。
その分、厳密な値ではないのに注意してください。
今回は物理化学、化学熱力学の中から相変化に関する問題というテーマを扱っていきます。
相変化に関する問題
相変化に関する基本事項
用語 | 説明 |
---|---|
相 | 化学組成と物質の状態が均一となっている物質の形態 |
相転移 | 一つの相から別の相へ自発的に生じる変化 |
転位温度() | 二つの相が平衡になるときの温度 |
相律 | であらわされる関係 ただし、F:可変度,C:化学的に独立な成分の数,P:平衡にある相の数 |
可変度 | 独立に動かすことのできる示強性変数の数 |
例題
2成分系で互いに平衡で共存できる相の数の最大値はいくらか。
解答の方針
相律を用いる。
求めるのは相の数の最大値であるから、
2成分系であるので、である。
よって、可変度がきわめて小さいとき、相の数は最大とみなせるため、として
補足 沸点についての記述
用語 | 説明 |
---|---|
標準沸点 | 1barのときの沸点 |
通常沸点 | 1atmのときの沸点 |
標準凝固点 | 1barのときの凝固点 |
通常凝固点 | 1atmのときの凝固点 |
1atm=1.013×10^5 [Pa] 1bar=1.0×10^5 [Pa] |
最後に大学院試験対策におすすめの参考書を紹介します。
本サイトでは基本的な問題の解説をしていますが、著作権などの都合上、問題設定や数値はオリジナルの問題になっています。
実際に大学院試験に出題された問題を見たいという方はこれらの参考書を使って対策をすることをおすすめします。
おすすめの無機化学参考書
無機化学演習 大学院入試問題を中心に
こちらの参考書は、原子構造、分子構造、固体構造といった物質の構造や酸化還元や酸塩基などのベーシックな反応に関する問題を取り扱っています。
例題には出題もととなる大学院の名前も書いてあるため、自分の受験する大学院の難易度と比較しながら問題を解くことができます。
例題に対して解説の分量が多く、とても丁寧な書き方がされているので、いきなりこの問題集を使っても問題なさそうです。
おすすめの物理化学参考書
アトキンス物理化学(上)
アトキンス物理化学(下)
アトキンス物理化学は、物理化学の参考書としてはよく用いられています。
マッカーリサイモンの物理化学の参考書とよく比較されますが、私個人としては、こちらの方が図表がきれいに並べられているため見やすいと感じています。
また演習問題が多く、これ一冊で大学院の対策ができることもいい点です。
ただし、アトキンス物理化学 第10版の演習問題の解答は別冊になっており、とても高価です。
アトキンス物理化学第10版の解答はこちら→https://amzn.to/3vBdsgA
さらに、解答はすべて英語になっているので、演習問題で解答が必要な人にとっては少々演習がやりにくく感じるかもしれません。
そのときには、下の参考書を使うとよいでしょう。
物理化学演習 1―大学院入試問題を中心に (化学演習シリーズ)
アトキンス物理化学の演習問題の答えがないときには、こちらの物理化学演習の参考書を買うのも一つの手でしょう。
こちらは例題と解答がセットで並んでいるため、効率よく問題演習に取り組むことができます。