量子化学におけるスピンは、相対論を用いることによって正しく表現されます。
スピンは、古典的な概念では表せないため、スピン特有の空間を設定して定義されます。
そのときスピン空間において、スピン演算子とその固有関数を定義すると、
のように表せます。
スピンは実際に存在する物理量なので、演算子はエルミート演算子になります。
エルミート演算子の性質からこの演算子の固有関数は規格直交性を持ちます。
スピン固有関数も電子の状態を指定するものです。
さらに、x,y,zやtとは独立した関数です。
そこで波動関数を空間部分(x,y,z)とスピン関数との積で表します。
このような1電子波動関数をスピンオービタル関数やスピン軌道関数と呼びます。
この場合も、規格直交性がなりたちます。