錯体・錯イオンとは?
錯体は配位化合物であり、非共有電子対を有するイオンまたは分子が金属イオンに配位結合したものである。
電子対を供与するイオンや分子を配位子といいます。
電子対を供与しているので、ルイス塩基であるとも言えます。また配位される金属イオンの方はルイス酸になります。
錯体の中でも配位子と金属の電荷によって正味、正の電荷や負の電荷を帯びた状態になっているものを錯イオンと言います。
また配位子の中でも1分子相手に1箇所だけ配位する配位子を単座配位子といい、複数配位するものを多座配位子と言います。
多座配位子が金属イオンと結合することで生成する環状の構造をキレート環といいます。
またそのとき、この多座配位子のことをキレート試薬といいます。
そして生成した錯体のことをキレート錯体と言います。
錯体の生成
一般に配位子(Ligand)を英語の頭文字をとってを使って表し、配位される金属(Metal)をMと表すことが多いです。
このとき、金属に一つの配位子が配位する反応は次のようにあらわされます。
ここで質量作用の法則からわかる平衡定数はつぎのようになります。
この平衡定数は、錯体の生成定数になります。
またこの反応の逆反応の平衡定数は、錯体の不安定度定数ということもあります。
つぎに複数の配位子が順番に配位する場合を考えます。
これらの反応を一つの反応式で表すと、
となります。この反応を全反応式といい、先ほどのそれぞれの式を遂次反応式ということもあります。
遂次反応の錯体の生成定数は遂次生成定数といいます。
全反応での錯体の生成定数は全生成定数と言い、となります。