ファンデルワールス気体からの臨界点の導出

ファンデルワールス気体からの臨界点の導出

例題1

以下のファンデルワールス気体の状態方程式を用いて、

臨界圧力$T_c$、臨界温度$T_c$、臨界体積$V_c$をa,bを用いて求めよ。

ただし、臨界点とは、$(\frac{\partial P}{\partial V})_T=(\frac{\partial^2 P}{\partial V^2})_T=0$を満たす点である。

$ファンデルワールス状態方程式　P=\frac{nRT}{V-nb}-\frac{an^2}{V^2} (aとbは定数)$

解答の方針

問題文に与えられている条件、$(\frac{\partial P}{\partial V})_T=(\frac{\partial^2 P}{\partial V^2})_T=0$　を用いて解答を求める。

解答

まず、三重点の各状態量はファンデルワールスの状態方程式を満たすので、

とは定数　$P_c=\frac{nRT_c}{V_c-nb}-\frac{an^2}{V_c^2} (aとbは定数)　\qquad(1)$

次に、$(\frac{\partial P}{\partial V})_T=0$より、

$-\frac{RT_c}{(V_{c,m}-b)^2}+\frac{2a}{V_{c,m}^3}=0\qquad(2)$

さらに、$(\frac{\partial^2 P}{\partial V^2})_T=0$より、

$-\frac{2RT_c}{(V_{c,m}-b)^3}+\frac{6a}{V_{c,m}^4}=0\qquad(3)$

(2)と(3)式を用いることで、

$\frac{V_{c,m-b}}{2}=\frac{V_{c,m}}{3}$

よって、$V_{c,m}=3b\qquad (4)$

これを(2)に代入すると、$T_c=\frac{8a}{27Rb} \qquad (3)$

(3),(4)を(1)に代入すると、$P_c=\frac{a}{27b^2}$

例題1の解答をみるとファンデルワールス状態方程式の各定数は、臨界状態での状態量と関係します。

次の例題では、これらの値をつかって、臨界点での圧縮因子Zが定数になることを見ていきます。

例題2

ファンデルワールスの状態方程式成立するときに、臨界状態での圧縮因子Zを求めなさい。

解答の方針

例題1で求めた各状態量を$Z=\frac{RT}{PV}$に代入します

解答

$Z=\frac{3}{8}$