蛍光とりん光の違いをかの記事で紹介しました。
光化学過程の1次過程と2次過程 光化学過程は、反応物の一部が放射線を吸収するところから始まります。 一次過程は、反応物の励起状態から生成物を直接生成する過程で、二次過程では、反応物の励起状態から得られた中間体を介[…]
そこで三重項状態というワードが出たのですが、触れていなかったので紹介します。
三重項状態を理解するのに必要な知識
三重項状態を考えるうえで必要になる知識がパウリの排他則です。
パウリの法則は、高校の化学でも難関大学を目指していた人は習っていたくらいの有名な法則で、大学でも量子化学やあるいは無機化学で習うと思います。
確認のため、パウリの排他則を確認します。
簡単にいうと・・・どの二つのフェルミ粒子も同じ量子状態をとることはない。という法則
フェルミ粒子とは電子や陽子や中性子など、スピン角運動量の大きさがディラック定数の半整数倍のものでしたね。
三重項状態の意味
個人的には、三重項状態を考えるときには、その名前につられないほうがいいと思います。
もちろん、三重項という名前に意味はあるのですが、それは量子数を理解している人向きなので、量子化学が苦手という人には直感的にはわかりにくいからです。
そこで、もっと簡単に三重項状態に新しく名前を付けるとしたら同方向スピンです。
まあ、ネーミングはさておき、言いたいことは次の通りです。
このように、例えば電子が励起された状態には平行の状態と反平行の状態があります。
厳密にはスピンは、このようにはっきり上向きと下向きに分かれるわけではないので、あくまでもイメージに過ぎないです。
しかし、厳密なことは量子化学を通じてしかわからないので、ひとまずはこのような理解をしておくとよいと思います。
三重項状態の名前
それでは、さきほど言っていた三重項状態の名前の意味について考えます。
三重項状態とは、角運動量の量子数が三つとりうる。すなわち、3つのエネルギーが等しい状態があるので、三重項と言われているのです。
これは角運動量の合成で習う考えになります。