大学の授業で論文探してこいって言われたけどどうすればいいんだ?
探し方わからないよーっていう方に向けてこの記事を書いています。
もうすでに基本的な調べ方がわかるよーって人にももっと応用的な検索の仕方も説明しているので、最後の方だけちらっとみてくださるとありがたいです!
論文を探す能力がなぜ大事か?
そもそもなのですが、なぜ論文を探す力をみにつけなければならないか、みなさん大丈夫でしょうか?
論文を探す力がないと次のようなことになる危険があります。
・もうすでに実験されていて時間の無駄に…
これは普通に嫌ですよね、必死に自分で実験して見つけたものが過去の論文に既にあったなんて最悪ですよね。
それまでやったことも調べればすぐにでてくることだったなんて時間の無駄以外の何ものでもありません。
さらに!
それだけではありません。もし仮に、既に実験されていることを知らずに自分の論文として発表してしまうとどうなるでしょうか?
・盗作疑惑(剽窃疑惑)をかけられるかも…
知らずにやったとはいえ、他の人と同じ内容だとパクリだとみなされるかもしれません。
こういう他人の発見を自分のものだと偽って発表することを剽窃といいます。盗作とは、そっくりそのまま写すことですが、剽窃ではアイデアの根幹が同じならば、文の形式や構造が違っていても剽窃とみなされます。
大学の卒業論文・修士論文ならば、当然不正行為として、受け取ってもらえず、なんらかの処分が下されることは間違いありません。
ひどい場合には著作権侵害の裁判沙汰になるかもしれませんので、気をつけておきましょう。
さらに、剽窃行為つながりとして、ひとつ確認しておきたいことがあります。
・論文を引用しないのも剽窃
さきほど、知らずに他人のものと同一のものを発表すると、剽窃になると言いましたが、気をつけておかなければいけないのは、もし仮に、
その論文をあらかじめ知っていて別の内容のものをつくったとしても、論文に何かしら関連がある場合には、被引用文献(引用される文献)として、参考書籍の欄に記載しておかなければならないということです。
そもそも論文は先人からの知恵の蓄積ですので、自分一人ですべて発見したということはないはずです。
もし、関連する論文を引用しなかったとしたら、それも自分が作ったと主張するのと同じことになり、剽窃行為だと受け取られます。
ですから、論文を書くときにはあらかじめ関連する論文を網羅的にしらべ、目を通しておかなければいけません。
そのため論文を探す能力というのは、非常に重要だといえるでしょう。
論文の探し方
論文を探すときに使うサイトは人それぞれ違うかもしれませんが、おそらく日本では
・CiNii Articles
が一番有名で、その次に
・Web of Science Core Collection
などがあるのではないでしょうか?
これらのサイトの違いはざっくりと分類すると
・CiNii Articles→国内論文向き
・Web of Science Core Collection→海外論文向き
です。
そのほかに科学技術系ならば、 JDreamⅢというサイトもあり、こちらは国内外の論文をシソーラス検索(類語検索)できたりするのでおすすめです。
もっと馴染みやすいものならば、
Google scholarというグーグルが出している論文検索サービスは、普段のグーグル検索の延長で気軽にできるため、大学生や専門学生には馴染みやすいのではないでしょうか?
気になるお金について…
論文の検索のサイトは、個人で使う分にはほとんどの場合、お金がかかります。
ですので、普通は企業や学校単位で登録されており、それを利用することになります。
ほとんどの大学の場合、ciNilやweb of science といった有名な論文検索サイトは通称”学認(GakuNin)”と呼ばれる学術認証フェデレーションというものを通して、ログインできるようになっているはずです。
これを利用すれば、大学で配られるアカウントから無料で論文検索ができるようになっているはずなので、ぜひとも活用しましょう。
私、化学ロビが、この学術認証フェデレーションを知ったのは大学3年生の春です。
もっと早く知っていればよかったと後悔していますので、ぜひ!1年生のうちから使っていると、慣れるのも早いですし、授業で困ったときに論文をさっと調べることもできます!
詳しいログインの仕方は、各大学のページを調べてみてください!
例:東京大学の場合
例えば東京大学なら次のように書かれています。
学認対応サービスにアクセスすると所属機関の一覧が表示されるので「東京大学」を選択してください。選択後、東京大学のログイン画面が表示されるのでユーザ名・パスワードを入力します。認証後にサービスが利用できるようになります。
引用:https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/dics/ja/gakunin.html
日本最難関の東京大学ではもちろん学術認証フェデレーションは使えます。
在学生ならわかるであろうUTokyo Accountを使うと、利用ができます。
例2:大阪大学の場合
『所属機関』 で「大阪大学」を選択し、『ログイン(Login)』ボタンをクリックすると、ログイン画面(図 2)が表示されます。 なお、認証システム選択画面はご利用になる SP 毎に異なりますので、詳細は下記の情報提供ページに掲載されている、 ご利用になる SP の認証マニュアルをご確認ください。
引用;https://web.auth.osaka-u.ac.jp/gakunin/docs/gakunin-SSO-login.pdf
大阪大学は丁寧にpdfファイル上で説明がなされているので、認証で手間取ることもないでしょう。
さらに、学術認証フェデレーションで利用できるSP(サービス・プロバイダ)の数も豊富ですので存分に活用できると思います。
このように、各大学でそれぞれ方法に違いがあるので、必ず自分の大学のものを確認して利用しましょう。
応用的な調べ方
最後に応用的な調べ方を説明していきます。
And検索 or検索 Not検索
大学生ならきっとAnd検索,or検索,not検索などは既にご存知だと思います。
知らない人のためにざっくり説明すると次のようになります。
検索の種類 | 意味 | 使い方(おおよその例) |
And検索 | キーワードがともに含まれているものを探す | スペース もしくは” &”や”And”を間に挟む。 |
or検索 | キーワードのどちらかが含まれているものを探す | “|”や “OR”を間に挟む。 |
Not検索 | キーワードを含まないものを探す | “-”もしくは NOTを除外したい語の前におく。 |
それぞれ記号の前にスペースが必要だったり、検索するシステムによって違ったりと若干ややこしい部分があります。
必要になったときにそれぞれの検索システムに応じて調べればいいでしょう。
とりあえず、こんなことができるんだという風に覚えておきましょう。
しかし、これは基本の基本です。
論文を検索するときには、もっと応用的な手法も知っておきましょう。
ワイルドカード
このワイルドカードは知っていれば便利かつ、自慢もできます(笑)
プログラミングなど情報処理系の学問を大学やそのほかで勉強している人にとっては馴染みぶかいかもしれません。
このワイルドカードとは、トランプでいえばいわばジョーカーのようなもので、すべての代わりにもなるものです。
このワイルドカードには「*」「?」「$」などいくつか種類がありますが、一番ポピュラーな使い方がされるのは「*」なので、これだけは必ず覚えておきましょう。
例えば、「大学*」という風に調べるキーワードの後ろにつけたとします。
このとき、ワイルドカードは後ろにかかっているため、「大学院」「大学入試」「大学別曹」「大学化学」などなど、「大学○○」といった用語の代わりになります。このような調べ方を前方一致といい、前の方の言葉はわかっているけど、後ろのことばがよくわからない(あるいは、特に指定しない)ときにつかいます。
逆に、「*大学」のように使われると、
「東京大学」「私立大学」「医療大学」など、「〇〇大学」といった用語の代わりになります。
このような調べ方を後方一致といいます。
また、「?」の使い方ですが、そのまま「?」の意味で使われ、わからない文字の代わりにつかいます。
例えば、ファントホッフさんの名前で調べたいとき、ファンタホッフだっけ?ファンテホッフだっけ?みたいになったとき(普通はなりませんが…笑)、
「ファン?ホッフ」で検索すれば、ワイルドカードが言葉の間を任意の言葉で埋めてくれることになります。
このようにワイルドカードは、その名の通り困ったときの切り札になりますので覚えておくと良いでしょう。
※ 逆に完全一致させたいときには、/大学/とすれば、他の言葉を除外できます。
シソーラス検索
こちらは、jdremasⅢでの検索システムになります。
国内外の学術文献や論文情報が検索できる日本最大級の文献・論文データベース。科学技術や医学・薬学関係の文献や論文情報を約6…
それ以外のサービスプロバイダでももしできるのならば、試してみてください。
シソーラスとは類語という意味で、シソーラス辞典なんて聞いたこともあるのではないでしょうか?
シソーラス検索(類語検索)では、より網羅的に資料を調べることができます。
例えば、「溶解度」という用語ひとつでも、
「固溶解度」「水溶解度」「固体溶解度」などのように若干ニュアンスを変えた言葉で出現したりするので、それらを網羅的に把握する為にシソーラス検索は用いられます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
論文の検索といってもいくつものサービスがあったり、検索の方法があったりと大変です。
しかし、一度使ってしまえばあとは、感覚的にできるため、最初の挑戦が肝心です。
これを読んでくださった方はまずはじめの一歩として、自分の大学の学術認証フェデレーションについて調べていただけると幸いです。