【大学院試験対策】完全気体を混合したときのギブズエネルギー

化学系の大学院試験直前の対策として、大学院の試験に出題されうる例題を掲載しています。

どの例題も典型的な問題であり、さらに出題されている数値をごく簡単な値に調整しているため、計算に時間をかける必要は不要です。

その分、厳密な値ではないのに注意してください。

今回は物理化学、化学熱力学の中から完全気体を混合したときのギブズエネルギーというテーマを扱っていきます。

 

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完全気体の混合ギブズエネルギー

今回は、2種類の気体を混ぜた時のギブズエネルギーについて考察したいと思います。

それを学ぶ前にまず、1種類の気体(純物質)のときのギブズエネルギーについて考えてみましょう。

 

1種類の気体のときのギブズエネルギー

ギブズエネルギーについて考えるとき、まずは熱力学の基本式を思い出しましょう。

以下に各状態関数の熱力学基本式をまとめます。

状態関数 熱力学基本式

今回はギブズエネルギーに関しての式を用います。

等温であるとき、

であるとして積分すると、

純物質では、ギブズエネルギーと化学ポテンシャルは同義であるので、化学ポテンシャルとして書き直すと、

これが一種類のときのギブズエネルギーと化学ポテンシャルです。

基準として、を1barとすることが多く、とおきます。

そして、求めたい時点でのギブズエネルギーや、化学ポテンシャルをそれぞれとします。これを標準ギブズエネルギーや標準化学ポテンシャルと言ったりします。

これらを用いて先ほどの式をもう一度かきなおすと、

二種類のときのギブズエネルギー

それでは、気体が二種類のときのギブズエネルギーを考えましょう。

それぞれの化学ポテンシャルに物質量をかけて足し合わせたものに等しくなるので、次のようにギブズエネルギーを書くことができます。

それぞれの化学ポテンシャルは先ほどのを用いて書くことができ、

これが二種類のときのギブズエネルギーです。

二種類の気体を混合したときのギブズエネルギーの変化

二種類の気体を同じ容器にて混合したとき、気体はそれぞれの物質量に応じた分圧をもつことになります。

混合後もその分圧でギブズエネルギーを算出することができます。

混合前  

混合後  

よって、混合によって生じるギブズエネルギーの変化はこれらの差をとればいいことがわかります。

対数関数の定義より、さらに簡単に書くと

補足 混合エントロピーと混合エンタルピー

混合エントロピーと混合エンタルピーの変化についてみていきましょう。

混合したときのエントロピーの変化はより求められます。

よって、

混合したときのエンタルピーの変化は、

であることを用いて、

になることが確認できます。

大学院試験対策におすすめの参考書

最後に大学院試験対策におすすめの参考書を紹介します。

本サイトでは基本的な問題の解説をしていますが、著作権などの都合上、問題設定や数値はオリジナルの問題になっています。

実際に大学院試験に出題された問題を見たいという方はこれらの参考書を使って対策をすることをおすすめします。

おすすめの無機化学参考書

無機化学演習 大学院入試問題を中心に

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こちらの参考書は、原子構造、分子構造、固体構造といった物質の構造や酸化還元や酸塩基などのベーシックな反応に関する問題を取り扱っています。

例題には出題もととなる大学院の名前も書いてあるため、自分の受験する大学院の難易度と比較しながら問題を解くことができます。

例題に対して解説の分量が多く、とても丁寧な書き方がされているので、いきなりこの問題集を使っても問題なさそうです。

おすすめの物理化学参考書

アトキンス物理化学

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アトキンス物理化学は、物理化学の参考書としてはよく用いられています。

マッカーリサイモンの物理化学の参考書とよく比較されますが、私個人としては、こちらの方が図表がきれいに並べられているため見やすいと感じています。

また演習問題が多く、これ一冊で大学院の対策ができることもいい点です。

ただし、アトキンス物理化学 第10版の演習問題の解答は別冊になっており、とても高価です。

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さらに、解答はすべて英語になっているので、演習問題で解答が必要な人にとっては少々演習がやりにくく感じるかもしれません。

そのときには、下の参考書を使うとよいでしょう。

物理化学演習 1―大学院入試問題を中心に (化学演習シリーズ)

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アトキンス物理化学の演習問題の答えがないときには、こちらの物理化学演習の参考書を買うのも一つの手でしょう。

こちらは例題と解答がセットで並んでいるため、効率よく問題演習に取り組むことができます。

 

 

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