インピーダンス整合とはなにか
この下にあげる写真は、MOTUの ZBox インピーダンスマッチングボックスという商品です。
音楽においてもインピーダンスという言葉が用いられていることを知っていたでしょうか?
電気回路や電子回路だけでなく、バンドの中でもインピーダンスが用いられるなんて驚きですね。
「ロー出しハイ受け」なんていう言葉を聞いたことのある方もバンドを経験している人のなかにはいるのではないでしょうか。
その意味を説明するとともに、インピーダンス整合について理解していきましょう。
インピーダンス
まず、インピーダンスについての復習です。
インピーダンスとは電気回路において、電圧と電流の比を表す複素数です。
簡単に言うと、直流での抵抗と同じ概念を交流回路に拡張したものです。
つまりは、電流の流れにくさと言ってもいいでしょう。
またインピーダンスの虚数部はリアクタンスといい、入力に対する出力の位相の変化を表します。
インピーダンス整合(インピーダンスマッチング)
ここで出力側のインピーダンスと入力側のインピーダンスが一致するとき、最も効率よく信号のエネルギーを伝達できます。
このように、出力側のインピーダンスと入力側のインピーダンスを一致させることをインピーダンス整合といいます。
厳密には、まったく同じに一致させるわけではなくともある基準のもとにインピーダンスを調整することをインピーダンス整合と言います。
このようにインピーダンス整合をとるためには、コンデンサやインダクタを使いますが、そのときのエネルギー損失を表す指標としてQ値があり、Q値が大きいほど損失が少ないコンデンサ・インダクタとなります。
ロー出しハイ受けとは
ロー出しハイ受けの話に戻りましょう。
ロー出しハイ受けはインピーダンス整合に関わりがあります。
先ほどは電気回路の話で入力と出力のインピーダンスが異なるとエネルギーロスがあるという話でしたが、音楽ではエネルギーロスがすなわち音の損失につながります。特定の周波数の音が聞こえにくくなることを防ぐためにもインピーダンス整合が重要になります。
しかし、必ずしもインピーダンスを一致させることは難しいのです。
楽器やそのほか音楽機器では、それぞれインピーダンスが異なるので接続するたびにインピーダンスを合わせるのは容易ではありません。
そこで音の損失がないようにするために出力側(元の音)のインピーダンスを低くして入力側(音を受ける方)を高くすることで、万が一のために音を保つようにしているのです。