ハートリーフォック近似とは、ハートリーフォック方程式と呼ばれる式をSCFと略される「つじつまのあう場の方法」と呼ばれる方法を用いて繰り返し計算をすることで、軌道関数を求める方法です。
オービタル近似によりシュレディンガー方程式を表す。
\begin{aligned}H_{1}\psi \left( r_{1}\right) \psi \left( r_{2}\right) +H_{2}\Psi \left( r_{1}\right) \Psi \left( r_{2}\right) \ +\dfrac {1}{\left| r_{1}-r_{2}\right| }\psi \left( r_{1}\right) \psi \left( 2\right) \ =E\psi \left( r_{1}\right) \psi \left( r_{2}\right) \end{aligned}
左からΨ(r2)を作用させて、r2に関して積分し、左辺第2項を移行する。
すると、左辺第二項は、電子2が電子1から受ける平均的なポテンシャルの式になっています。
この後、つじつまの合う場の方法(SCF)と呼ばれる方法を用いて、関数を決定していきます。
つじつまの合う場の方法(self consistent field method)
① 関数Ψを使い、ポテンシャルを数値計算
② ①で求めたポテンシャルを用い、変分法でシュレディンガー方程式を解き、関数φnを数値計算
③ ②で求めた関数φnを用いて、ポテンシャルを再び計算
④ このポテンシャルを用いて、変分法でシュレディンガー方程式を解き、関数φn+1を数値計算
⑤ φn=φn+1のとき終了。そうでない場合、φn+1を用いて、③の操作に戻る。
この操作を繰り返すことで、精度があがっていき、φn=φn+1になったところで、終了します。
SCFの限界
つじつまの合う場の方には限界があり、どんなに頑張っても厳密な値を得ることはできません。
その原因は、関数系を2個の軌道関数の積で表しているからです。
オービタル近似のときにみたように、実際には相互に依存している関数を積としてむりやり近似しているためにズレが生じています。
この時に生じたエネルギーのズレを相関エネルギー(Correlation Energy, CE)といいます。