化学系の大学院試験直前の対策として、大学院の試験に出題されうる例題を掲載しています。
どの例題も典型的な問題であり、さらに出題されている数値をごく簡単な値に調整しているため、計算に時間をかける必要は不要です。
その分、厳密な値ではないのに注意してください。
今回は無機化学分野の中から基底状態電子配置というテーマを扱っていきます。
このテーマは比較的簡単なもので、ほかの分野でも大事になってくる基礎的なものなので、必ずできるようになっておきましょう。
基底状態電子配置
まずは、例題から見ていきましょう。
例題
次の原子の基底状態電子配置を記せ。
(1) O
(2)Fe
(3)Cu
この問題を解くためには、基底状態電子配置というものを知っておかなければなりません。
大学院によっては、基底状態電子配置の例が与えられている場合がありますが、そうでない場合を考えて自分でかけるようになっておきましょう。
基底状態電子配置とは例えばこのようなものです。
リチウム:
ホウ素:
このように、各軌道を占有している電子の数だけ右上に指数のように数字を振ります。
それでは、これらをふまえた上で例題を解いて解答と見比べてみましょう!
解答
電子の数に合わせてエネルギー準位の低い軌道から入れていきます。
遷移金属に関しては、3d軌道に入るか、4s軌道に入るかを考えなければなりません。
(1)
(2)
(3)
例題2
次の基底状態電子配置である原子はなにか?
(1)
(2)
(3)
解答
こちらは電子の合計が原子番号と一致するものを選べば大丈夫です。
(1)窒素(N)・・・原子番号7
(2)アルゴン(Ar)・・・原子番号18
(3)ケイ素(Si)・・・原子番号14
大学院試験対策におすすめの参考書
最後に大学院試験対策におすすめの参考書を紹介します。
本サイトでは基本的な問題の解説をしていますが、著作権などの都合上、問題設定や数値はオリジナルの問題になっています。
実際に大学院試験に出題された問題を見たいという方はこれらの参考書を使って対策をすることをおすすめします。
おすすめの無機化学参考書
無機化学演習 大学院入試問題を中心に
こちらの参考書は、原子構造、分子構造、固体構造といった物質の構造や酸化還元や酸塩基などのベーシックな反応に関する問題を取り扱っています。
例題には出題もととなる大学院の名前も書いてあるため、自分の受験する大学院の難易度と比較しながら問題を解くことができます。
例題に対して解説の分量が多く、とても丁寧な書き方がされているので、いきなりこの問題集を使っても問題なさそうです。
おすすめの物理化学参考書
アトキンス物理化学(上)
アトキンス物理化学(下)
アトキンス物理化学は、物理化学の参考書としてはよく用いられています。
マッカーリサイモンの物理化学の参考書とよく比較されますが、私個人としては、こちらの方が図表がきれいに並べられているため見やすいと感じています。
また演習問題が多く、これ一冊で大学院の対策ができることもいい点です。
ただし、アトキンス物理化学 第10版の演習問題の解答は別冊になっており、とても高価です。
アトキンス物理化学第10版の解答はこちら→https://amzn.to/3vBdsgA
さらに、解答はすべて英語になっているので、演習問題で解答が必要な人にとっては少々演習がやりにくく感じるかもしれません。
そのときには、下の参考書を使うとよいでしょう。
物理化学演習 1―大学院入試問題を中心に (化学演習シリーズ)
アトキンス物理化学の演習問題の答えがないときには、こちらの物理化学演習の参考書を買うのも一つの手でしょう。
こちらは例題と解答がセットで並んでいるため、効率よく問題演習に取り組むことができます。